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2019-12-24 23:08:00

 「褒められても疑心暗鬼」、「周りばかりが気になって身動きが取れない」。現代の若者たちの心の声を聴かせてもらっているようだ。来賓として招待された神奈川県立相模原総合高等学校の課題研究全体発表会の始まりである。「神さまは俺だ」と言い放つホスト界の帝王ROLANDから自己肯定感の持ち方を学ぶプレゼンテーションだ。常に自分を高みに置いて、自信をもちつづけよう。時代がおれに追い付いていないだけ。だから、褒められたらすなおに受け入れ、褒めてくれる人を大切に生きていることにも感謝しながら、自分を貫こうと。

 

 次のプレゼンテーションは高みを目指す。1200キロを90時間以内に自転車で走り切るというパリブレストパリレースの出場資格を得るため、相模原から京都までを4日かけて走り切った。制限時間は迫っていたけれど、とにかく条件はクリアした。最後は強い気持ちが頼りだと。雨にも見舞われる中、動画を撮影した協力者の頑張りも見逃せない。お疲れ様。おめでとう。

 

 するとひときわ大きな声で空手のプレゼンテーションが始まった。フルコンタクト空手(実際に攻撃を行なうタイプの空手、オリンピックで競われるノンコンタクト空手とは異なる)を鍛えてきたという。やがて瓦割りの演舞。振りかぶるごとに深まる静寂の中、雄叫びとともに下された一撃で5枚の瓦は真っ二つ。それは弱い自分に「負けないための」空手と見た。

 

 休憩をはさんで、MMDによるアニメ作成。MMDが、MikuMikuDanceの略称であり、「プリセットされたキャラクターの3Dモデルを操作しコンピュータアニメーションを作成する3DCGソフトウェアである。」(ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/MikuMikuDance, 12月25日閲覧)ことは、高校生たちには説明不要なのであろう。初音ミクの瞬きやお辞儀の「カクカク感」をソフトの操作によって「自然」の動きにできるだけ忠実に寄せてみせた。あくなき探求力で希望通りプロを目指してほしい。

 

 一人ひとりの「自然」を大切にしようというのが次のプレゼンテーションだ。障がいを「害」ではなく、「個性」として理解する。障がいに種類も数も多いということは、つまりそれだけ様々な「個性」があるということ。人はみんな平等なのだから、せめて分け隔てなく接したいと。そうしたそれぞれの個性にふさわしいコミュニケーションの方法を具体的に示してくれた。

 

 そして最後は、人工内耳で聞こえる世界を生きている「個性」の持ち主からのプレゼンテーション。聾と聞けば「聞こえない世界で生きている」と考えがちだが、実は「聞こえ方が違う世界」生きているだけ、そういう「個性」を持っているだけ。しかし、カミングアウトが恐怖でしかないほど偏見の壁が厚いのも事実。幸い発表者は周りに恵まれた。だから、勇気をもって向き合いたいし、向き合ってほしい。そうやって実際にともに生きるところに希望があると。

 

 6つのプレゼンテーションを受けて、校長先生からの一つ一つを丁寧に称える講評と、すでに外部で行われた食品ロスに関する外部での発表も含めて優秀賞の賞状と記念品の授与がされた。

 

 会の終了後に、校長先生と直接お話しする機会もいただいた。総合学習では県内トップクラスだと胸を張った。

 

 たしかに、「自己肯定感」「高い目標設定」「弱い自分との闘い」「自然の探求」「個性としての障がい」「障害を乗り越えて向き合いともに生きること」といった本日のプレゼンテーションのテーマは、現代の社会を生きるうえで不可避の課題ばかりである。そして1週間100分の総合学習の授業をほぼ1年間にわたって積み重ねてきた成果が今日であるという。少し大げさかもしれないけれど、全校で問題意識を広げ、深めた成果が今日だという言い方もできそうだ。

 

 ここまで仕上げるためには、生徒たちの頑張りもさることながら、先生たちのご苦労も計り知れないと思った。校長先生からお話を伺った後、図書室も見学させていただいた。県立高校の平均を大きく上回る、3万1千冊の蔵書を誇り、しかも、見やすく使いやすい配架も目を引く図書館だった。総合学習の個別のテーマに合わせた選書もまた近隣の図書館との連携も含めた文献検索も図書館業務として行われているという。

 

 さらに驚いたのは、図書購入費の大半が保護者をはじめとする学校関係者からの寄付で賄われているということ。つまり、相模原総合高校の総合学習は、教職員のみならず、父兄や地域の人々によって支えられ、期待されているということなのだ。

 

 総合学習の学びには、総合政策学に研究の数だけ学問があるのと同様に、学ぶ者の数だけの学びがあると言って過言ではない。それは、観察によって法則性を見出す種類の学問とは異なる、問いの数だけ答えがある「個性」の学びだ。相模原総合高校の総合的学習の取り組みには、その学びの持つ「個性」を大切にする姿勢がある。総合学習は、その「個」性ゆえ、学習者にも、学びそれ自体にも無限の伸びしろがある。相模原ビジネス公務員専門学校は、学ぶ者たちの「心の声」を聴くところから始めて、そうした学びの発展に寄与できればと強く思った発表会でもあった。

 

 改めて、本日のお招きに感謝すると同時に、相模原総合高校のますますのご発展をお祈りしたい。